飯綱東高原は長野県の北部にあり、日本海側と内陸型の気候条件を持ち多様で変化に富んだ地域といえます。
 飯綱火山の外輪山の一部霊仙寺山は、冬季日本海の気象を強く受け、長野市側の飯綱高原に比べて積雪量は多いといえます。
 飯綱山から霊仙寺山にかけての山頂部は亜高山帯に属し、コメツガが多くみられ、東高原からみることが出来ます。(黒く見える樹木)

ダケカンバ

 ミネカエデ、サラサドウダン、ホザキツツジ、矮化したダケカンバ等の落葉低木の割合が大きく、草原にはウメバチソウ、ミヤマコゴメグサ、タチアザミ、エゾリンドウ等が見られ、夏から初秋にかけて美しく咲きそろいます。

 リゾートスキー場の最も高い地点付近から下は高木帯で、ミズナラが多く、高木化したダケカンバ、数は少ないがブナもあり、ハウチワカエデ、オオカメノキ、オオバクロモジ等亜高木層、低木層の樹木は多彩です。この森林は原生林ではありませんが、変化に富んだ自然林です。

ミズバショウ
 

 水芭蕉園付近まで下がると、沢に沿ってハンノキの林、その外側にハルニレ、コブシと湿地を好む植物達は住みわけています。その他オオヤマザクラ、ウリハダカエデ、イタヤカエデ、キブシ、リョウブ、所々にアカマツ等の混交林になっています。飯綱火山の伏流水が湧き出すこの付近はミズバショウ、リュウキンカ、ニリンソウの群落が見られるところです。

ユキツバキ
  標高1200メートル付近から下には、ユキツバキが見られます。ユキツバキはヤブツバキに似ていますが、多雪地帯に適応した1〜2メートルのツバキです。ユキツバキはこの寒冷地で雪があるから生きられる植物なのです。どんなに気温が下がっても雪の中は氷点下になりにくく雪が保温の役目をしているのです。ユキツバキは、この地域の積雪量を超えて大きくなることはないのです。
 東高原のユキツバキは、長野県の南限であると思われます。
ヒメアオキ
 

 その他この地域の雪の下で生きる常緑樹にはヒメアオキ、エゾユズリハ、ハイイヌガヤ、フッキソウ等があります。温暖な土地で生きるこれらの植物達が環境に順応して逞しく生きているのです。

 東高原に最も多い樹木はカラマツで、別荘地になっている霊仙寺湖の周辺はカラマツの植林地が広がっています。東高原付近のカラマツ林の林齢は40〜50年生と思われます。
 カラマツは落葉する針葉樹であり、スギ、ヒノキの植林地と異なって太陽光線が地上に到達する割合が高く、手入れの行き届いていない林内には落葉低木層やカエデ、コナラ、カスミザクラ等が混じっています。
 植林の条件が悪く伐採されなかった谷筋には、植林する前の自然林の姿を見ることが出来ます。

Written by M_Kawashima

 カラマツは長野県内の山岳部に分布していたわけですが、良材としての需要が多く資源が枯渇し、明治の中頃浅間山麓などで植林が始まりました。
 牟礼には明治32年に県設苗圃がおかれ、カラマツの苗などの供給地でありました。
 カラマツが戦後木材不足を補う樹種として脚光を浴びたのは、その生長の速さからです。高冷地に適することで北海道、東北地方にも植林が盛んに行われました。
 一時的に利用されたカラマツも、経済発展の中で価格の安い外材の輸入、新しい素材の出現、それに林業労賃の高騰はカラマツ材生産者には厳しいものでした。そしてカラマツ林は手入れの行き届かない森になってしまったのです。

 目的が多様化した現代、木材の経済的な価値だけでなく、環境資源としての森林づくりが考えられます。
 水保全という観点から見れば、カラマツを間伐することでカラマツ林に落葉樹が進入し、草本類も豊かになります。
 落葉樹が腐葉層を作り土壌を形成し、保水力の飛躍的な高まりにより水流出の平準化が行われ、緑のダムとなります。
 放置されたカラマツ林を間伐することで、単純化した森を本来の複雑で多様な混交林に変えてゆくことが望ましいのではないでしょうか。

Written by M_Kawashima

【ブルーベリーのふるさと】
 ブルーベリーはアメリカからカナダにかけての大西洋側に分布しているツツジと同じ仲間です。
 生育している場所は湿った沼のまわりや草原です。暖かい土地のブルーベリーもあるのですが、牟礼村の比較的高地に生育しているものは、寒い土地に向くハイブッシュと言う種類です。
 この種類のブルーベリーは、泥炭(デイタン)地に生育しています。泥炭と言うのは、年間を通じて寒い土地で、秋に草が枯れても分解されずにスポンジのようになり、何百年、何千年も積み重なった強い酸性の土地のことです。こんなところにブルーベリーは生育しているのです。

【日本にブルーベリーはあるの?】
 日本にもブルーベリーに近い植物はあります。クロマメノキです。
 長野県あたりより北のわりあい高い山で、標高2000メートル位の草原のようなところに生育しています。アサマブドウとも言われています。

【今ブルーベリーが注目されている】
 ブルーベリーの熟した青紫色の実は、7種類のアントシアニン色素が含まれ眼によいとされています。一日に120〜250グラムの生の熟した実を食べると眼の疲労がとれ、視野が広がり、夜間でも暗闇に眼が慣れるのが早いそうです。
 ブルーベリーは生の実を冷凍しておけば、1年間は変化しないので冷凍貯蔵に向いています。
 食べ方はヨーグルト、アイスクリームと一緒に食べたりといろいろ工夫してみましょう。

Written by M_Kawashima

「アンケート」にご協力願います。